独り言置き場

溢れた感情を供養するための場所

ヒプステとコロナと私

チケットがまた紙になろうとしている。

厳密には「紙にしようと」しているのだが。

 

舞台ヒプノシスマイク、通称ヒプステ。

これは私にとって、生きがいだった。

ヒプステが無くても人生は楽しいが、ヒプステがあれば数十倍は楽しい。

つらい時はヒプステのことを考えて乗り越えてきた。

「5月になればまた生で観られる」と信じて疑っていなかった。

まさかこんな世の中になるなんて誰が想像できただろうか。

ヒプマイの5thライブも、

デュラステも、

炎炎のステも、

全部チケット紙になった。

つらかった。

払い戻しに行くたび虚無の大金を手にした。

それでも5月ヒプステさえ見ることができれば生きられると思っていた。

しかし現実は無情だった。

9公演分のチケットが紙になって、17万円近いお金が返ってきて。

暮らしに余裕はできたけど、何も嬉しくなかった。

 

だから、8月に再演が発表された時は本当に嬉しかった。

幸いにもまたチケットが当たった。

これから少しずつ日常に戻れるんだと思ってた。

甘かった。

 

すぐに第2波が来た。

今度は中止にならなかった。

中止にならなかったこと自体は本当によかったと思っている。

だが、第2波のせいで私個人のヒプステには暗雲が立ちこめてしまったのである。

 

この状況で東京遠征をすることに関してだ。

8月再演(初演だけど)の発表から2ヶ月、ひたすらこのことばかり考えている。

考えると悲しくなるので考えたくないが、考えずにはいられない。

一度は大きく減少した東京での感染者は今や100人近くになり、Go Toキャンペーンに対する不安の声も高まるばかりだ。

とてもないけれど、地方から東京に遊びに行っている場合では無い。

行かない方が良い。

わかっている。

それでも、諦めがつかない。

命は1つしかないのに何を悩むことがあるのかと言う人も居るだろう。

それを否定するつもりはない。全くもってない。

でも、舞台だって1回きりのものなのだ。

今後再演があろうと、次のシリーズがあろうと、2020年8月に行われる舞台はたった1度きりなのだ。

死ななきゃ安い、だけで、半年以上楽しみにしてきたものを諦めることは、どうしても、簡単ではないのである。

生きがいにしてきたものを捨てたら、それこそ本当に死んでしまうじゃないか。

ただでさえあらゆる楽しみを奪われ自粛を強いられる中で、唯一のよりどころだったヒプステすらも捨てなくてはいけないのか。

冷静じゃないとわかっているけれど、冷静で居られないほどには私はヒプステを愛しているのである。

本当になんとかして遠征する術がないか考えた。

新幹線を使えば最小限の滞在で日帰りできるんじゃないだろうか。

グリーン車にすれば三密を回避できるんじゃないだろうか。

いっそ飛行機で行けば最短時間で移動ができるんじゃないか。

実家から出れば、家族にうつさずにすむんじゃないか。

本当に色々考えた。

しかし、考えれば考えるほど、現実的な答えとして強くなる「自粛」。

発狂しそう。

こんなに好きなのに何で観にいけないんだ。

オーディエンスキットを郵送してもらえればまだ我慢できるかもしれない。

だが実現が難しいのもわかっている。

送料やチケット料金、現場との兼ね合いなど、素人目にも問題は山積みだ。

光るバンダナが欲しかった。

何てトンチキなグッズだよ。

大好きだわ。

配信があるんだから本当に全く観られないわけじゃない。

でも舞台ってのは生ものなんだよ。

自分も演劇を趣味でやっている人間なので、よくわかる。

現地で同じ空間を共有することにも重大な意味がある。

あの空間の中に居たい。全身全霊で浴びたい。

何がつらいって、東京に住んでさえいれば見に行けたことだ。

5月の中止とは違って、観られる人と観られない人がいる。

公演自体はあるのに、行こうと思いさえすれば行けるのに、自分だけが、自らの意志で観る権利を放棄しないといけないのだ。

だったら全員平等に観られない方が良い、なんて少しでも考えてしまう自分が本当に嫌だ。

中止を望んでいるなんて、そんなわけ無いのに。

強制的に誰かに止めてもらいたい。

最後の引導すら自分で引かないといけないなんて、自分でチケットを紙にするなんて、そんなの辛すぎるじゃないか。

ちなみにもっと厳密に言えば電子チケットなので紙にすらならない。

はじめから、私にご用意された席なんてなかったかのように。

消えていく。

 

同じ思いを抱えている人がきっと沢山居るだろう。

私だけじゃない。

わかっている。

わかっているんだ。

それでも

 

つらい。

 

 

※8月末追記※

当記事は7月に作成したものですが、エラーにより上げ直しました。

結局、第2波がいよいよ加速したため東京遠征は断念した。

それでもなかなかチケットをリセールに出すことができなかったし、トレードが成立した時は泣いた。

これが現実さ。大人の判断。

推しのためにも、行かないという選択を選ぶ。

これで正しい。

正しいはず。